不動産事業を個人事業で行っている場合には生命保険料を経費とする事はできません。

「将来の大修繕のために生命保険を活用して将来に備えています。」
「将来の退職金の非課税のために生命保険で積み立てを始めた。」

このような話を聞いたことがあるかも知れませんが、このような話をされている方の大部分は法人の経営者であるはずです。

といいますのは、個人事業主の場合にはご自身の生命保険料を支払っても、事業をされていない方と同様に「生命保険料控除」として確定申告で控除する事になります。
ですので、個人事業で不動産経営をしている場合にはどんなに多額の生命保険料を支払っても、所得控除として年間で最高12万円までしか受ける事しかできませんので確定申告の際に誤って不動産事業の経費に算入してしまわないように注意が必要です。

個人事業を法人成りした場合には生命保険の取扱いが変更されます。

不動産事業の法人成りのメリットとして、個人事業の時は生命保険料は経費にならなかったものが、法人成り後は生命保険料として損金の額に算入する事が可能となります。
ただし、生命保険には終身保険から掛け捨て保険など幅広い種類があり、その種類ごとに生命保険料の全額を損金できるものや半額を損金に算入できるものと決められているため、加入時には十分な検討が必要となります。

また将来の修繕費や退職金を損金の額に算入しながらの積立方法としては、生命保険を活用する場合の他、「倒産防止共済という制度もありますので是非こちらの加入も検討し、更に財務に強い会社経営を目指して下さい。

また個人事業のまま経費を増やしたい方は、倒産防止共済に類似した制度で、支払額の全額を所得控除する事ができ、解約時には返戻金を受け取る事のできる小規模企業共済もございますのでこちらも是非ご活用下さい。

鎌倉の後藤税理士事務所