先日クライアントから銀行の借入金の返済が終了したら税金はどのくらい高くなってしまいますかと質問を受けました。

相続税の借入金を現預金で返済をしても相続税額が増加しないのと同じで、法人と個人事業主の両者とも借入金を繰上返済や完済をして借入返済がなくなっても、それぞれ法人税や所得税額は増加いたしません。

法人税や所得税の税金は、『財産の増加や負債の減少により利益が生じた場合』に発生します。

例えば不動産賃貸業の方ですと、受け取った家賃が収益となり、そこから固定資産税や管理費等の経費を支払って残った額が利益となり、利益を出して増加した財産に対して法人税や所得税が課税されます。(簡易的に減価償却などは省略しています。)

そして借入金を返済するという行為は、例えば一億円の借り入れを手持ちの現預金で返済をしたとしますと、銀行からの借入金である一億円の債務を、所有財産である一億円で返済した事になりますので、債務と財産が同額減少した事になりますので、『財産の増加や負債の減少により利益が生じた場合』には該当いたしませんので、法人税や所得税は増加いたしません。

もちろん借入を返済していくと通常ですと支払利息の額が毎月毎月減少していくため、経費が減少するため、減少した支払利息分は財産の減少が少なくなりそこに課税される法人税や所得税は増加いたしますが、多少の増加で済む事でしょう。

どうしても納得できない方は、想像してみて下さい。

事業が苦しかったり会社を立ち上げた時に銀行から借り入れをしたとします。
その時に財産が増加したからと言って法人税や所得税が発生したでしょうか?

発生していませんよね?
財産の増加と共に債務も増加しているからです。

よってその逆である銀行の借り入れを返済しても経費になりませんので、銀行の借入金の返済が終了いたしましても、税金は増加いたしませんのでご安心下さい。

また相続税の時も考え方は同じで銀行からの借入である債務を、所有財産で返済しても減少した債務と同額の財産が減少する事となりますので、その方の純財産額に変化は発生しないため、相続税額も変化いたしませんので資金繰りに余裕があるようでしたら支払う利息が節約できますので繰り上げ返済等を検討されてはいかがかと思います。

鎌倉・藤沢の後藤税理士事務所